
- 個別支援計画は、本人の希望、生活、必要な支援を踏まえ、各サービス事業所で行う支援の目標と方法を整理する計画です。
- サービス等利用計画は生活全体と複数の支援を整理し、個別支援計画は各事業所で行う具体的な支援を整理します。
- 本人は説明を受け、希望や分からない点を伝え、計画を受け取り、振り返りと見直しに参加します。
- 計画の目標は本人を事業所の都合へ合わせるためではなく、本人が望む生活に支援をつなぐために設定します。
個別支援計画の役割
障害福祉サービスの事業者は、利用者の意向、能力、置かれている環境、生活全般の状況等を確認し、サービスごとの個別支援計画を作成して支援を行います。
計画の名称はサービスによって異なり、就労継続支援B型であればB型事業所での支援内容、共同生活援助であればグループホームでの支援内容というように、その事業所が担う具体的な支援を整理します。障害児通所支援では、児童発達支援計画や放課後等デイサービス計画がこれに当たります。
契約書は利用条件を定め、一日の予定表は活動の流れを示します。個別支援計画は、本人の希望と課題、目標、支援内容、担当、見直し等を個別に整理します。
サービス等利用計画との違い
| 確認項目 | サービス等利用計画 | 個別支援計画 |
|---|---|---|
| 主な作成者 | 指定特定相談支援事業所の相談支援専門員。本人・家族等によるセルフプランの取扱いもある | 各サービス事業所のサービス管理責任者。障害児通所支援は児童発達支援管理責任者 |
| 見る範囲 | 本人の生活全体と、利用する複数の福祉サービス、医療、就労、地域の支援等 | その事業所が提供するサービスの目標と具体的な支援 |
| 主な役割 | 本人が望む生活へ向け、支援の組合せと関係者の役割を整理する | 事業所で誰が、何を、どのように支援し、どう振り返るかを整理する |
| 振り返り | 相談支援によるモニタリングで、生活全体とサービスの組合せを確認する | 事業所で支援の実施状況、本人の変化、目標や方法の適切さを確認する |
複数の事業所を利用する場合、サービス等利用計画は一つでも、個別支援計画は原則として事業所ごとに作成されます。二つの計画が別々の方向を向かないよう、本人の同意と個人情報の取扱いを確認した上で連携します。
作成から見直しまでの流れ
以下はB型の手順を中心に説明します。サービスごとに根拠や計画の名称が異なるため、利用するサービスの説明も確認してください。
アセスメント
本人への面接等を通じ、希望、生活、強み、困りごと、環境、必要な支援を確認します。
原案を作る
総合的な支援方針、目標、具体的な支援内容、達成時期、留意事項等を整理します。
会議で検討する
本人と支援担当者等が参加する会議で、本人の生活への希望と原案への意見を確認します。
説明・同意・交付
原案の説明を受け、文書で本人の同意を確認します。計画は本人と相談支援事業者等へ交付されます。
計画に沿って支援する
職員間で支援方法を共有し、日々の本人の様子と支援の結果を記録します。
振り返り・見直す
サービスごとの基準や必要な時期に、本人の希望、生活の変化、支援の効果を確認します。
見直しの間隔はサービスによって異なります。また、体調、生活、希望、家族状況等が変わった場合は、予定された時期を待たずに相談できます。
B型では、運営基準の第202条が第58条の計画作成手順を適用しています。会議への本人参加が基本です。「家族が話しておけばよい」とせず、長い会議が難しい場合も、参加しやすい時間・場所・説明方法を事業所と相談します。家族への説明と、本人の同意の確認は区別します。
計画で確認したい内容
- 本人が望む生活や活動、本人が大切にしていること
- 総合的な支援の方針が、本人の希望とつながっているか
- 長期目標・短期目標と、その達成時期
- 目標へ向けて事業所が行う具体的な支援
- 本人が行うことと、職員や関係機関が支えることの区別
- 支援する担当者、場面、頻度、必要な配慮
- 情報を共有する相手と共有する範囲
- 振り返りの時期と、変化があったときの相談方法
抽象的な表現だけでは、支援の内容と結果を確認しにくくなります。「コミュニケーション能力を高める」で終わらず、本人がどの場面で何を伝えたいのか、職員がどの手段を用意するのかまで確認します。
本人が計画に参加するために
厚生労働省の意思決定支援ガイドライン第2版は、決める主体を本人とし、情報の伝え方や環境を整えて選択を支える考え方を示しています。言葉だけの面談で意思を確認できない場合も、本人抜きで決める理由にはなりません。うなずきだけを同意と決めつけず、写真や体験、日々の反応などから丁寧に確かめます。
分かる方法で説明を受ける
短い言葉、写真、絵、実物、選択肢、体験など、自分が分かりやすい方法を伝えます。
希望と嫌なことを伝える
やりたいことだけでなく、避けたいこと、疲れること、安心できる方法も計画の材料です。
理由を質問する
希望と異なる目標がある場合は、誰の希望か、なぜ必要か、別の方法はないかを聞きます。
試してから選ぶ
経験がなく選べないときは、複数の方法を体験し、そのときの本人の反応から考えます。
その場で返事をしにくい場合は、計画案を持ち帰る、別の日に確認する、信頼する人に同席してもらうなどの方法を相談します。
第2版は、決定を急がせず、保留したり誰かと一緒に考えたりすることも大切にしています。希望を聞く会議と、その希望を支援内容へ落とし込む会議は役割が異なります。必要なら、意思決定のための話し合いを別に設ける方法も相談できます。
面談に持参する希望メモ
文章で完成させる必要はありません。言葉、絵、写真、指差しなど、自分に合う方法で次の点を伝えます。家族が手伝う場合は、本人の言葉・反応と家族の考えを分けます。
| メモすること | 伝え方の例 |
|---|---|
| 続けたいこと | 「ラベルを貼る仕事が好き。自分で仕上げたい」 |
| 困る場面 | 「機械の音が大きい場所だとつらい」。どの場所・時間かも伝える |
| 試したいこと | 「新しい道具を使ってみたい。でも、最初はそばで見てほしい」 |
| 説明の方法 | 「口で一度に説明せず、写真で手順を見せてほしい」 |
| 保留すること | 「通う日を増やすかは、今の疲れ方を見てから考えたい」 |
上の言葉は架空の例です。作業内容や体調、必要な支援は人によって異なり、全員の目標や事業所の提供条件を示すものではありません。
本人の努力だけを目標にしない
例えば「音に慣れる」だけでなく、「静かな作業場所を選べるよう、職員が席や作業時間の候補を示す」と、支援する側が行うことも確認します。試した後は、本人が続けたいか、負担が変わったか、別の方法を選べるかを一緒に振り返ります。希望を実現できない場合も、理由と代わりの方法を聞きます。
まだ事業所を選んでいる段階なら、B型の見学で確認する質問にもこのメモを使えます。
家族が関わるとき
家族は、本人のこれまでの生活、意思表示の方法、健康、安全、家庭での様子を伝える大切な関係者です。一方、成人した本人の希望と家族の希望は同じとは限りません。
- 「本人が希望していること」と「家族が心配していること」を分けて伝える
- 言葉以外の本人の意思表示や、選択の経過を具体的に共有する
- 目標が家族や事業所の負担軽減だけになっていないか確認する
- 本人の情報を、誰へ、何のために共有するかを確認する
- 本人が会議に参加しやすい時間、場所、説明方法を相談する
本人と家族の意見が異なるときは、家族の意見で置き換えず、本人の意思と選好を丁寧に確認します。必要に応じて相談支援専門員等を交え、複数の選択肢や体験を用意します。
見直しを相談したい変化
指定就労継続支援B型の計画は、少なくとも6か月に1回以上の見直しが必要です。これは日々の状況確認を半年に一度で済ませるという意味ではありません。継続的な状況把握と定期的な本人面接・記録も基準に位置付けられています。
相談支援専門員が行うサービス等利用計画のモニタリングは、B型事業所での計画見直しとは別です。それぞれの担当者と次の予定を確認します。他のサービスにも一律に「6か月」を当てはめず、利用サービスの基準を確認してください。
- 本人の希望、興味、目標が変わった
- 通所後の疲れ、不安、欠席、体調変化が続いている
- 支援の方法が合わず、本人が拒否や苦痛を示している
- 仕事、学校、住まい、家族状況、医療等に変化があった
- 目標を達成したが、同じ支援が続いている
- 複数の事業所で支援方針が食い違っている
- 計画に書かれた支援と、実際に受けている支援が異なる
計画どおりに本人が変わらなかったことだけを問題にせず、目標、環境、支援方法が適切だったかを一緒に振り返ります。評価は本人の生活の満足度を高めたかという視点も重要です。
内容が分からない・希望と違うときの相談手順
- 気になる箇所を示す。計画案や受け取った計画を見ながら、「通う日を増やす目標の理由が分からない」など、疑問を具体的に伝えます。
- 説明と別の方法を求める。サービス管理責任者へ、本人のどの希望から考えた目標か、職員は何を支援するか、試してから決められるかを聞きます。分からないまま同意を進めず、再説明や再検討を相談します。
- 次に確認する日と担当を決める。何を試すか、誰が記録するか、いつ本人と振り返るかを確認します。変更した計画の説明・同意・交付も確認してください。
- 事業所だけでは話が進まないときは外の相談先へ。担当の相談支援専門員がいれば、希望と実際の支援の違いを伝えます。担当がいない、相談先が分からない場合は、居住地の市区町村の障害福祉窓口や基幹相談支援センター等へ、利用できる相談先を尋ねます。
「今の計画では通う日を増やす目標になっていますが、帰宅後の疲れが気になっています。今のペースで作業場所を変える方法も考えたいです。本人が分かる説明で、次の振り返り日と、それまでの支援を一緒に確認できますか」
架空の相談文例です。体調の問題は計画の変更だけで解決すると考えず、必要に応じて医療機関にも相談します。
窓口の名称や相談体制には地域差があります。福岡市では、相談支援事業の案内に計画相談と区の基幹相談支援センターへの導線があります。市外の方は居住地の公式案内を確認してください。受給者証の内容やサービスの種類・支給量の変更は、市区町村への確認事項も参照できます。
説明を受けるときの質問
- この目標は、本人のどの希望から設定しましたか
- 事業所は具体的にどのような支援をしますか
- 本人が嫌だと示したときは、どのように確認しますか
- 支援が合っているか、何を見て判断しますか
- 計画や記録は誰と共有しますか
- 変更を希望するときは、誰へ伝えればよいですか
- 次の振り返りはいつですか
確認した公的資料
- 指定障害福祉サービスの運営基準・第58条(厚生労働省):本人参加の会議、原案の説明、文書による同意、交付、見直しの手順を確認できます。
- 同基準・B型の第202条(厚生労働省):第58条等をB型に適用する規定を確認できます。
- 指定計画相談支援の人員・運営基準(厚生労働省):生活全体を整理する計画相談と、事業所間の連携の役割を確認できます。
- 意思決定支援ガイドライン第2版(厚生労働省):本文・事例集・概要資料への入口です。本人の意思を中心に支援を考える際に役立ちます。
- 同ガイドライン第2版の本文(PDF):本人に合う情報の伝え方、決定を急がせない配慮、話し合いと振り返りを確認できます。
- 福岡市の相談支援事業案内:計画相談の役割や、相談先を探すときの区の窓口を案内しています。
- 児童発達支援等のガイドライン(こども家庭庁):子どもの支援計画を考える場合の資料はこちらです。
2026年10月時点の資料を確認しています。B型の手順・見直し間隔は国の基準に基づく説明です。子どもの支援は根拠法令が異なり、同じ同意者・手順・間隔と考えないでください。個別の対応は事業所や相談支援、自治体へ確認してください。