この記事の要点
  • 就労移行支援は、一般企業等への就労を希望する人のためのサービスです。
  • 雇用契約を結んで働く場そのものではなく、就職へ向けた訓練・支援を行います。
  • 標準利用期間は2年間です。
  • 就職者数だけでなく、本人に合う支援、就職先、定着に向けた連携を確認することが大切です。

就労移行支援の役割

厚生労働省は、就労移行支援を、一般企業等への就労を希望する人に対し、一定期間、就労に必要な知識と能力の向上に必要な訓練を行うサービスと説明しています。

支援内容は事業所によって異なりますが、生活リズムや体調管理、自己理解、職業訓練、職場体験、応募書類、面接、求人探索、企業との調整などが含まれる場合があります。

A型・B型との違い

サービス主な目的雇用契約支払われるもの
就労移行支援一般就労へ向けた訓練・求職支援事業所との雇用契約は結ばない原則として賃金・工賃を得る場ではない
就労継続支援A型支援を受けながら雇用契約に基づき働くあり賃金
就労継続支援B型非雇用で生産活動等の機会と支援を受けるなし工賃

サービスの上下関係ではありません。本人の希望、体調、必要な支援、働き方を踏まえ、市区町村の支給決定を経て利用します。

標準利用期間は2年間

就労移行支援の標準利用期間は2年間です。支給決定は一定期間ごとに行われ、継続の必要性や支援による改善の見込み等が確認されます。

標準利用期間を超えてさらに利用が必要な場合は、市町村審査会の個別審査を経て必要性が認められた場合に、最大1年間更新できる取扱いがあります。実際の判断は個別に行われるため、市区町村や相談支援事業所へ確認してください。

期間がある理由と注意点

就職へ向けて計画的に支援するための期間ですが、必要な準備の時間は人によって異なります。利用開始時に「2年間で何を目指し、いつ振り返るか」を本人と共有することが重要です。

利用から就職までの考え方

  1. 市区町村、相談支援事業所、学校、医療機関等へ相談する
  2. 事業所を見学し、支援内容や環境を確認する
  3. 利用申請、サービス等利用計画案、支給決定等の手続きを進める
  4. 個別支援計画を作り、訓練と求職活動を行う
  5. 職場見学・実習、応募、面接、企業との配慮調整を行う
  6. 就職後の支援機関・企業との連携を確認する

これは一般的な関係を整理したもので、手続きや順序は本人の状況と自治体によって異なります。

本人・家族が事業所を選ぶときの確認点

本人の希望

希望職種だけでなく、働く時間、通勤、環境、体調、必要な配慮を一緒に整理するか。

訓練の具体性

一律のプログラムだけでなく、本人の目標と課題に合う内容か。

企業との接点

職場見学、実習、求人開拓、企業との配慮調整をどのように行うか。

就職後の連携

就職後に誰へ相談でき、企業、就労定着支援等とどうつながるか。

  • 途中で目標や体調が変わった場合、計画を見直せるか
  • 支援内容と一日の過ごし方を見学・体験できるか
  • 就職実績の人数だけでなく、職種、働き方、定着状況をどう説明しているか
  • 家族の意向だけでなく、本人の意思をどのように確認するか

制度と運用の課題

同じ2年間でも必要な支援は異なる

体調、障害特性、職歴、生活環境、地域の求人によって就職までの過程は異なります。期間を埋めることや早く就職すること自体が目的にならないよう、本人の目標と支援内容を定期的に確認する必要があります。

就職者数だけでは支援の質を判断できない

就職実績は参考になりますが、対象者数、利用期間、就職先、働く時間、本人の希望との一致、就職後の継続などを合わせて見なければ、単純な比較はできません。

就職後も生活と職場の課題は続く

就職は終点ではありません。生活リズム、体調、職場のコミュニケーション、業務変更などの課題に対し、企業、就労定着支援、障害者就業・生活支援センター等との連携が重要です。

企業が知っておきたいこと

就労移行支援事業所は、企業にとって採用候補者を紹介するだけの機関ではありません。本人と企業の双方から仕事内容と環境を確認し、職場実習、業務の切り出し、合理的配慮、採用後の連携を考えるパートナーになり得ます。

企業側も、障害名だけで業務を決めず、本人ができること、苦手な環境、必要な配慮、相談方法を具体的に確認することが大切です。

確認した公的資料

「制度と運用の課題」は、制度の目的と利用期間を前提に、本人・家族・企業が確認すべき論点として編集部が整理しています。

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