最初に確かめたいこと
  • 進学、就職、職業訓練、福祉サービスは、本人が望む暮らしと必要な支援から比較します。進路に上下の順番はありません。
  • 実習では作業結果だけでなく、説明の方法、休憩、移動、本人の感想を残します。
  • 学校の進路決定と、進学先の選考・企業の採用・福祉サービスの支給決定は、それぞれ別に確認します。
  • 進路が未定でも、卒業後の相談担当と次に話す日を決め、相談を途切れさせないことが大切です。
卒業後にしたいことを絵のノートで伝える生徒と、同じ目線で聞く家族・学校の進路担当者のイラスト
イメージイラスト。実在の人物・学校ではありません。

卒業後の主な選択肢

「働くか、施設に通うか」の二択ではありません。学びたい内容、仕事への希望、日中の活動、生活に必要な支援を分けて考えると、候補を具体的にできます。

進学・学び

大学、短期大学、専攻科、専修学校等で学ぶ選択です。出願資格と選考、授業の内容、入試・学修での配慮、通学と費用を希望先へ確認します。

企業等で働く

企業や団体と雇用契約を結び、賃金を受け取ります。職種や勤務条件だけでなく、仕事の教わり方、相談担当、通勤と休憩を確かめます。

職業訓練

障害者職業能力開発校等で仕事に必要な知識や技能を学びます。訓練内容、応募資格、選考と募集時期は、各機関の案内と窓口で確認します。

就労移行支援

一般企業等で働くことを希望する人が、訓練、職場体験、求職活動などの支援を受ける障害福祉サービスです。利用すれば就職が約束されるわけではありません。

就労継続支援A型・B型

生産活動等の機会と必要な支援を受ける障害福祉サービスです。A型は原則として事業所と雇用契約を結び、B型は結びません。仕事・支援・通い方を事業所ごとに確認します。

生活を支えるサービス

生活介護は日中の介護や活動等、自立訓練は生活能力等に必要な訓練・支援を行います。対象条件は異なるため、日中活動、住まい、移動を含め、市区町村や相談支援へ相談します。

選択肢は上下の順番ではありません

企業就労がすべての人の最終目標という関係ではありません。本人の希望、健康、生活、必要な支援に合うかを確かめ、状況が変われば見直します。A型・B型の契約や収入は就労継続支援A型・B型の違い、訓練を検討する場合は就労移行支援の見学で聞く質問も参考になります。

進路先より先に考えたいこと

  • 一日の中で、どのような活動をしてみたいか
  • 一緒に取り組みたい人や、落ち着いて過ごせる場所
  • 通う時間、働く時間、休憩、通院や体調との両立
  • 言葉、文字、写真、体験など、理解しやすい説明方法
  • 困ったときに誰へ、どの方法で伝えたいか
  • 住まい、移動、余暇、人との関わりをどうしたいか

希望をすぐに言葉にできなくても、写真から選ぶ、実際に試す、短い質問に答える方法があります。家族や職員が表情だけで結論を決めず、安心できる場面や繰り返し選ぶ活動も手がかりに、本人が意思を伝えやすい方法を探します。

在学中から卒業後へつなぐ流れ

  1. 本人の希望を確かめる。 学校や家族に、してみたい活動、困る場面、あると助かる支援を伝えます。
  2. 地域の候補と日程を聞く。 学校の進路担当へ、見学・実習の予定と、自治体や就労支援機関につながる方法を聞きます。
  3. 見学・実習の条件を確認する。 目的、時間、担当者、移動、費用、保険、体調が変わった場合の連絡方法を事前に確かめます。
  4. 本人と振り返る。 興味、疲れ方、説明や環境による違いを残し、もう一度試したいことを決めます。
  5. 進路ごとの選考・申請を進める。 入試、採用、福祉サービスの手続きを区別し、必要書類と提出先を確認します。
  6. 次の担当へ引き継ぐ。 本人に説明し、同意と共有範囲を確かめて、支援の方法と卒業後の連絡先をつなぎます。

全国一律の学年や締切ではありません。在籍する学校の年間日程、応募・申請先の期限、本人が検討する時間を合わせて確認してください。実習を終えたことだけで、採用や福祉サービスの利用が確定するわけではありません。

実習の後に確かめる4つのこと

振り返ること本人と学校・実習先で確かめる内容
活動と興味どの作業をまたしてみたいか。苦手だった作業は、内容そのものか、初めてで手順が分からなかったのか。
説明と環境口頭・写真・実物のうち何が分かりやすかったか。席、音、人の出入り、道具を変えると取り組みやすかったか。
移動と疲れ作業中だけでなく、行き帰りと帰宅後にどの程度疲れたか。休憩や活動時間を相談する必要はあるか。
次に試すこと同じ場所で条件を変えて試すか、別の候補を見るか。誰に依頼し、いつ返事をもらうか。

「作業が遅い」「一日過ごせた」だけで進路を決めず、支援があったときの様子と本人の感想を残します。学校の実習記録と、本人が伝えたいことの両方を相談に持参しましょう。

学校と地域の相談で決めること

面談では、進路先の候補だけでなく、未確認のことを誰が調べ、いつ本人へ返事をするかまで決めます。本人が参加しやすい時間と説明方法も学校へ相談できます。

相談すること面談後に残すこと
本人の希望してみたい活動、避けたい状況、あると助かる支援。家族の希望や心配とは分けて残す。
候補の条件見学・実習・募集の時期、通う方法、受入れ条件。まだ回答がない項目と問い合わせる担当。
選考と申請学校、進学先・企業、市区町村等の役割、必要書類、提出先、期限。就労選択支援が関係する場合はその調整。
情報の共有個別の教育支援計画や実習記録のうち、何を誰に渡すか。本人・保護者への説明と同意を確認する。
卒業後の連絡最初に相談する窓口、担当者、連絡方法、次に話す日。受入れ先が決まる前でも、地域で相談を続ける相手を確かめる。
面談での伝え方の例

「実習では図書の整理に関心がありました。写真の手順があると取り組みやすかったです。次は別の場所でも同じ方法で試したいです。見学を頼む人と、返事を聞く日を決めたいです。卒業後、困ったときの相談先も教えてください。」

本人と家族、それぞれが確認すること

本人は「やってみたい」「分からない」「もう一度見たい」「今は決めたくない」を、自分に合う方法で伝えて構いません。話す場に家族が同席していても、本人へ直接説明してもらう時間を確保します。

家族は、通所や生活の見通しに関する心配を本人の希望とは別に伝えます。意見が異なる場合は理由を聞き、別の体験や支援方法も含めて、学校や相談支援の担当者と話し合いましょう。

B型を考える場合と、在学中の就労選択支援

2025年10月以降、B型を新たに利用する場合は、原則として利用前に就労選択支援を利用します。本人の希望や作業場面を踏まえ、強み、必要な配慮、働き方の候補を考える支援です。年齢・年金・就労経験等の条件や、近隣の実施体制による例外は市区町村へ確認します。

国の学校向け通知では、特別支援学校等の1年次から利用でき、必要に応じて在学中に複数回利用することも可能とされています。ただし、15歳以上18歳未満の生徒は、児童相談所長が利用を適当と認め、市町村長へ通知する手続きが必要です。希望する時期、申請、学校の実習との調整を、学校・市区町村・相談支援へ早めに聞いてください。

校内実習等を作業観察の場面に使うこともできますが、学校だけで自動的に福祉サービスの利用が成立するわけではありません。実施先・支給決定・日程に加え、授業日に利用する場合の出欠の扱いも学校へ確認します。

A型については、2027年4月以降の新規利用前のアセスメントが予定され、国は取扱いを改めて示すとしています。卒業後の利用開始時期に合わせ、最新の手続きを確認してください。対象や例外の詳細は就労選択支援の対象と相談の流れ、申請書類と費用は受給者証の申請前の準備で確認できます。

目的別の相談先

相談したいこと主な相談先
在学中の日程、実習、引継ぎ担任、進路指導担当、特別支援教育コーディネーター
福祉サービスの申請・支給決定住んでいる市区町村の障害福祉担当窓口
生活全体とサービスの組合せ相談支援事業所、基幹相談支援センター等
求人、就職活動、職業相談ハローワーク。専門的な職業評価や準備の支援は地域障害者職業センター等
働くことと生活を合わせた相談障害者就業・生活支援センター等
入試、学修の配慮・支援希望する学校の入試・障害学生支援等の担当窓口

窓口の名称、対象地域、予約方法は異なります。学校の面談で地域の窓口を確認し、「卒業後も相談したい」と伝えて、連絡方法を本人も分かる形で残します。

進路がまだ決まらないときは

  1. 何が決まっていないかを分ける。 本人の希望、候補の空き・募集、体調、通う方法、申請のうち、次に確かめたい項目を学校へ伝えます。
  2. 学校と地域の相談窓口をつなぐ。 生活や福祉サービスは市区町村・相談支援へ、就職を希望する場合はハローワーク等へ、本人と一緒に相談する方法を確認します。
  3. 卒業後の生活と次の連絡日を決める。 日中の過ごし方、生活リズム、必要な支援を相談し、どの担当者へいつ状況を伝えるかを残します。

空きがあるという理由だけで本人に合わない場所へ急いで決める必要はありません。一方で、待機や未定の間に学校の支援が自動的に同じ形で続くわけではないため、卒業前から地域の担当と必要な支援を確かめてください。特定の施設の空き、利用開始や支給決定は個別の確認が必要です。

卒業後も、支援と選択肢を見直す

通い始めて初めて分かる疲れ方や、変わっていく希望があります。学校で有効だった説明や休憩の方法が新しい場所でも使えるかを確かめ、困ったときは進路先と地域の相談担当へ伝えます。

引継ぎは、書類を渡すだけでなく、本人が知ってほしいことと共有してよい相手を確認して進めます。個別の教育支援計画や実習記録のどの部分を使うか、誰が受け取るかを相談しましょう。福祉サービスの利用後は本人の希望を個別支援計画へ伝える方法も役立ちます。

支援の伝え方を具体的に決めたいとき

支援メモの記入例と共有範囲の確認で、本人の希望・学校の観察・家族の心配を分ける書き方と、古い情報の修正方法を確認できます。

よくある質問

実習先から受入れの話があれば、福祉サービスの申請は不要ですか?

いいえ。実習先の受入れと、市区町村のサービス利用の支給決定は別です。学校と候補の事業所へ開始予定を伝え、市区町村に申請時期・必要書類を確認してください。

本人と家族の希望が違う場合、先に進路を決めてもよいですか?

家族の希望だけで決めず、本人が何を望み、何を心配しているかを確かめます。言葉だけでなく写真や体験を使うこと、本人が話しやすい人や場面で聞くことも学校へ相談できます。期限がある手続きは別に確認し、検討を続ける方法を担当者と話し合ってください。

進路を本人の希望から考える

学びたいこと、してみたい仕事、暮らしに必要な支援から、次の相談に向けて選択肢を確かめましょう。

本人向けの案内を見る

参考資料

制度の基準時点は2026年10月です。学校の日程、応募条件、サービスの対象可否・支給決定、受入れと開始日は、学校・希望先・市区町村等へ個別に確認してください。